"Stoned & Dethroned" Revisited

"Stoned & Dethroned" は1994年に発表されたジザメリの5枚目のアルバム.

このアルバムでは一切のフィードバック・ノイズが排除され,代わりにそれまで彼らの楽曲の中核にあった甘いメロディーが前面に出されて,アコースティックギターを中心に据えたスローテンポで美しい音楽が展開されてる.

ノイズがないという点で衝撃的な作品だったけど,個人的には彼らの一番の傑作のようにも思う.

1つには,ノイズなしの直球勝負でメロディーメイカーとしての才能を余すところなく示してる点がいい.それと,以前の彼らの音楽にはなかった乾いた音世界も大きな魅力だと思う.アコースティックギターとエレキギターの絡め方が素晴らしい.さらに,メロディーやコードワークのバラエティーも増え,同じくノイズを排していた2作目の "Darklands" からは1回りも2回りも大きくなった彼らを感じることができる.

3作目4作目で多少ノイジーながらもキャッチーな路線を確立した後,それに背を向ける路線のアルバムを作り,その質をこれほど高いものにしたのはすごいと思う.

アルバムのハイライトは:

・リスナーを一気に彼らの新境地に引き込む1曲目 "Dirty Water" と2曲目 "Bullet Lovers"

・Mazzy StarのHope Sandovalを迎えた "Sometimes Always",元PoguesのShane MacGowanを迎えた "God Help Me"(彼に歌わせるために書かれたような曲に思えてならない)

・後半がVelvet Undergroundの "What Goes On Beginning to See the Light" (←勘違いに気付いて訂正しました)を彷彿とさせる "She"

・絶望と希望の間で揺れ動きながら希望の方に振れてみた,美しい "Till It Shines"

・逆に「知り合いはみんな死にたがってる」という "Everybody I Know"(それでも美しいアコースティック曲)

・乾いた感じでアルバムを締め括る "Feeling Lucky"

…といったところかな.Jimがボーカルをとってる曲の方が乾ききってて自分は好き.Williamがボーカルをとると何だか湿っぽくなるというか和んでしまう.それがいいという人もいるだろうけど.

歌詞の方は,上にちらっと書いた通り,絶望の方に振れてみたり希望の方に振れてみたり.あとはラブソングかな.全体的にはどっちかと言うとやっぱり暗い感じはする.

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