レヴォネッツ7枚目はノイズポップの傑作

デンマーク出身で現在はアメリカを拠点とする男女デュオ,The Raveonettes (ザ・レヴォネッツ) の7枚目のフルアルバム "Pe'ahi" が7月にリリースされ,早速購入した.4作目から6作目まではノイジーさを含めアグレッシブな面が影を潜めていたのに対し,今作はノイズもビートも炸裂する中,オールディーズを思わせる甘いメロディーが主旋律として鳴り響く内容.しかも,単にデビュー当時に回帰したわけではなく,これまでさまざまなアプローチを経たことによる深みが加わっている.ノイズポップの傑作,レヴォネッツの決定盤と言いたい.以下,簡単にメモ:

レヴォネッツは当初,ノイジーなギターと1950~60年代のポップスを思わせる黄金メロディーの組み合わせから「デンマークのThe Jesus and Mary Chain(以下ジザメリ)」と呼ばれ,1作目の Chain Gang of Love(2003年.以前のエントリ参照)や3作目 Lust, Lust, Lust(08年.以前のエントリ参照)はまさにそのような路線のアルバムだった.

しかし,4作目 In and Out of Control (09年.以前のエントリ参照)はノイズを排したポップなアルバムとなり,5作目 Raven in the Grave (11年.以前のエントリ参照)はそこに高音のシンセを交えた冷たい音響が印象的な作品となった.6作目 Observator(12年.以前のエントリ参照)にもノイジーなところはなかった.ただ,これら4~6作目のアルバムもメロディーが耳に残る良い曲ばかりが収録されており,私は何度も聴き返している.

そのような中,新作のリリースがアナウンスされ,レヴォネッツの公式ウェブサイト(ここ参照)で新作収録曲(2曲目)の Sisters を無料で試聴・ダウンロードできるというので行って聴いてみたら,打ち込みビートの上にノイズが洪水となってあふれ,途中でビートが止まるとハープの調べが響くという極限まで美しいノイズポップソングだった.関心のある方には,まずはこの曲を試聴することをお勧めしたい.

これ以外のほぼ全ての曲でノイジーなところが大々的に復活しており,ノイズポップを愛好するレヴォネッツ・ファンには大変嬉しい変化となっている.中でも 6曲目 A Hell Below や 9曲目 When Night Is Almost Done はオールディーズそのままの激甘メロディーとノイジーなギターを組み合わせ,ノイズポップの王道を行く楽曲でとても楽しめると思う.

7曲目 The Rains of May はノイズを抑えて美しいメロディーを楽しめる上,前半と後半に分かれた2部構成のような曲になっていて(Asobi Seksu がこういう構成を多用していたのが思い出される),これも耳に残る.4作目から6作目までの制作があったからこそ生まれた,深みのある1曲のように感じられた.

一方,8曲目 Kill! は Aly, Walk with Me(3作目 Lust, Lust, Lust の収録曲)のような大変アグレッシブでノイジーな曲.彼らのこういう一面が復活したことも大変喜ばしい.

今作はレヴォネッツの原点回帰を含めた集大成となるアルバムで,繰り返しになるがノイズポップの傑作と言っていいと思った.興味のある方は是非.

レヴォネッツ公式サイト: www.theraveonettes.com
レヴォネッツのMySpace: www.myspace.com/theraveonettes
レヴォネッツのTwitter: twitter.com/theraveonettes

以前の関連エントリ:
ジザメリファンにレヴォネッツ!(07年7月26日)
レヴォネッツ3枚目もジザメリファンにおすすめ(09年3月20日)
レヴォネッツ4作目はノイズが抜けポップに(09年10月19日)
ダークな中に美しさが光る-レヴォネッツ5作目,ファンにおすすめ(11年4月22日)
2012年~13年初めに購入したアルバム(13年6月7日)

| 音楽::ジザメリ::関連アーティスト | 2:24 | comments (0) | trackback (0) | permalink |

コメント

コメントする








トラックバックURL

トラックバック


<< より最近のエントリへ 以前のエントリへ >>